MCIとは
MCI(mild cognitive impairment)とは認知症になる手前の段階の状態のことです。
「物忘れが目立つようになった」「注意力が低下した」「見たものをうまく理解できなくなった」などの比較的軽度な症状はあるものの日常生活上では左程支障なく過ごせる程度であり、将来認知症に進行する可能性は比較的高いが現状は認知症ではない状態と分類されます。
(健常▶MCI)▶(認知症初期▶中期▶後期・重度)
MCIの診断
軽度認知障害の診断について
健常とMCI、MCIと認知症との境界線に明確な区別が存在しません。このため診断は難しいといえますが、最近ではスクリーニング検査(血液検査)によるアルツハイマー型認知症の兆候を捉えるMCI診断の試みなども研究が進んでおり、MCIに対する診断の精度は年々上がってきています。
更に、認知症疾患治療ガイドライン2010ではMCIを更に記憶障害の有無によって分類する概念が説明されており、理解が深まっています。
MCIによって低下する認知機能
- エピソード記憶(過去の経験などを思い出すことが出来る機能)
- 注意分割機能(適切に注意を切り替えながら物事をいくつか同時に行う機能)
- 計画力と思考力(行動する時の手順を考えて実行する機能)
- 認知予備機能(貯蓄されている脳機能)
これらの機能低下を出来るだけ遅らせるために日頃から機能向上への働きかけを行うことが大事です。
認知機能の向上に対するアプローチ
エピソード記憶に対して効果的な例
- 昔の事を思い出してみる
- 日記を書く
- 家計簿をつける
注意分割機能に対して効果的な例
- 複数の料理を同時進行で調理する
- 数人のグループ内で会話する
- 頭を使いながら体を動かす
計画力と思考力に対して効果的な例
- 予定表を作る、旅行の計画を立てる
- 一日のスケジュールを決めて行動する
- クロスワードパズルなどを行う
認知予備機能に対して効果的な例
- 新しいことにチャレンジしてみる
MCIのチェックリスト
早期発見
MCIに差し掛かっている状態を早く知る事ができれば、それだけ早い段階で認知機能向上に向けてのアプローチを開始することができ、認知低下の進行を遅らすことが可能です。またMCIの段階から、適切なアプローチや生活習慣の見直しによりMCIが改善され健常に戻る可能性があるとも言われています。
「あれ?少し変?」と気になったらチェックリストで確認してみましょう。
MCIに対するチェックリストは公なところからいくつか公開されています。『mci チェックリスト』などと検索すると見つかると思いますので活用できるかと思います。
少しでも気になることがあれば専門医に相談するようにしましょう。