加熱式タバコに害はあるのか
タバコの害について
肺がん、乳がん、食道がんなどのリスクが高いことは誰もが知っているとおりです。
喫煙者は非喫煙者と比べ
肺がんになるリスクが | 4.5倍 |
乳がんになるリスクが | 3.9倍 |
食道がんになるリスクが | 3.7倍 |
虚血性心疾患になるリスクが | 2.9倍 |
胃がんになるリスクが | 1.7倍 |
大腸がんになるリスクが | 1.4倍 |
脳卒中になるリスクが | 1.3倍 |
そして、死亡リスクは1.7倍です。
- 狭心症や血栓症リスクが高まります!
- 手術後の排煙発生率が高まります!
- 手術の傷の直りが悪くなります!
万一、大きな手術が必要になった時、喫煙者に限ってはこのような悪影響を最初から背負うことになります。「タバコさえ吸っていなければ・・・」と後悔しても遅いのです。今から禁煙を開始しましょう。
受動喫煙について
受動喫煙については肺がんをはじめ脳卒中等のリスクを高めるとされており、近年は街から喫煙所がどんどん姿を消しています。
喫煙者にとっては切ない話しではありますが、非喫煙者にとっては他人の出す煙にさらされる機会が減り、受動喫煙に関しては世の中が良い傾向に向かっていることは間違いないです。
そんな中、愛煙家への救済の手が・・・
加熱式タバコは害が少ないのか?
2014年頃から加熱式タバコが一般に登場しました。
コンビニでも買えるIQOS(アイコス)やglo(グロー)など、煙が少ない健康志向で他人に迷惑を掛けないタバコとして爆発的にヒットし、今では喫煙者の中にかなり普及している印象です。確かに煙も臭いも少なく、他人に迷惑をかけにくい喫煙グッズではあります。
はたして本当に健康志向なのでしょうか?
加熱式タバコは健康志向?
日本ではニコチンを含んだ電子タバコは法律上承認されていませんので、紙巻タバコ以外のタバコは加熱式タバコが主流となっています。
加熱式タバコがタバコの葉を使う以上、ニコチンが発生します。たしかに紙巻タバコに比べ周囲への有害物質排出量も少なめです。紙巻タバコに比べ害が少ないと言われる加熱式タバコではありますが、やはり他の有害物質を含んでおり、残念ながら健康志向に科学的根拠はありません。吸って吐く息にも有害物質が含まれることも分かっています。喫煙者自身の健康被害、受動喫煙による健康被害は0ではないということです。加熱式タバコに含まれるプロピレングリコール、グリセロールなどの物質は加熱して吸引することで重い肺炎になる可能性も指摘されています。
換気扇下やベランダで吸うたばこの受動喫煙
集合住宅のベランダでタバコを吸うお父さん。ホタル族という言葉が流行した時代もまだ記憶に新しいところです。
ベランダや換気扇下ので喫煙はたしかに室内での煙の暴露よりも大幅に受動喫煙量を減らすことが出来ます。
しかし、ベランダの戸の開閉時やサッシなどの隙間から確実に煙は室内に入り込んでいます。また、換気扇で吸い込みきれなかった煙も室内に広がっていきますので、煙の悪影響は残念ながら排除できてはいないのです。
更に加熱式タバコは煙(蒸気)が見えにくいため、汚染の広がりも見えにくくなることから、意識せずに受動喫煙の害を周りに広めてしまっている可能性もあります。
5月31日は世界禁煙デー
毎年5月31日は世界禁煙デーです。タバコと健康問題を考える日として世界中で色々な啓蒙活動が行われています。
禁煙することのメリット
タバコのデメリット(害)はよく知られていますが、禁煙することでどんなメリットがあるのでしょうか。
肺がんや食道がんのリスク軽減のほか以下のようなメリットがあります。
呼吸器系へのメリット
タバコをやめることで
- 咳や痰が減る
- 呼吸が楽になる
- 階段の上り下りで息切れしなくなる
体調などへのメリット
タバコをやめることで
- 肩コリや頭痛、胃の不調がなくなる
- 肌の調子が良くなる
- からだが軽く感じる
- 目覚めが良くなり安眠できる
味覚などへのメリット
タバコをやめることで
- 食べ物がおいしくなる
- 歯磨きで嗚咽がなくなる
- 口臭がなくなる
- 体臭が気にならなくなる
心配毎、精神などへのメリット
タバコをやめることで
- 家族からの苦情がなくなる
- 喫煙場所を探す手間がなくなる
- タバコの買い置きの心配がなくなる
- 出費が減る
- タバコが吸えないイライラがなくなる
- 集中力が高まる
- 家族を待たせなくて済む
周囲などへのメリット
タバコをやめることで
- 受動喫煙がなくなり周りの人への健康被害のリスクが減る
- 火災などの危険リスクが減る
これらがタバコをやめることで得られるメリットとなります。逆を言うと加熱式タバコを含むタバコの喫煙はこれらがすべて否定されるということです。
年々値上げするタバコ
筆者が喫煙者だったころ、初めは250円だったタバコが今では倍にまで値上がりしています。
健康を害しながらお金も浪費するタバコに1ミリの得もありません。
500円の煙草を一日一箱吸うとしましょう。
一か月15,000円かかります。一年で180,000円の無駄な出費です。仮に20歳から40歳まで喫煙したとしましょう。20年間で3,600,000円かかっています。
3,600,000円あれば何が買えますか?趣味や家族のために使えませんか?もっと有意義なものにお金が使いませんか?
加熱式タバコと禁煙外来
分かってはいるけどやめられない?
殆どの喫煙者はタバコを吸う事への害を理解しながらやめられずにいると思います。
「禁煙してはみたけどイライラがきつくて無理」多くの喫煙者が経験しているのではないでしょうか。
「意思が弱くてやめられない」そう思っていませんか?実はやめられないのは普通の事です。タバコがやめられないのはあなたの意思が弱いのではなく麻薬にも劣らない依存性の高いニコチンによるニコチン依存症という病気にかかっているから。やめられないのは当たり前なのです。
しかし、禁煙外来で治療を受けることでタバコはやめられます。
禁煙のお薬は一番禁煙成功率の高い飲むタイプから、貼るタイプ、噛むタイプ(市販)などがあり、あなたに合った禁煙補助薬を使って楽に禁煙が可能です。また、受診にはお金がかりますが実際はタバコ代より安く済む場合の方が断然多いですから、喫煙者は是非、禁煙外来へ受診することをおすすめします。
禁煙治療は2020年から加熱式タバコも保険適用になりましたので加熱式タバコの喫煙者も対象となっています。
生活習慣からニコチン依存度を計算できるサイト ニコチン依存度